Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第35章 心臓の一部
その当日の朝、目が開いた瞬間急いで隣を見るが、やはりリヴァイはいなかった。
少々重苦しい裸体を起こしてまだ朝日が登りきらない窓を見やる。
「もー…寝てたら起こしてって言ったのにー」
昨夜の激しい情事のせいにはしたくない。
互いの不安を払拭するかのようにひたすら互いの身体を深く貪った。
まだ肌を重ねた時のような温かさが残っている気がしてそっと自分の体を腕で包み込み長い息を吐く。
リヴァイは、まだ熟睡している自分を残してどんな顔をしてどんな思いで行ってしまったんだろうとつい想像してしまった。
あれだけ起こしてと言っておいたのに、結局自分を眠らせたまま行ってしまった。
きっと起こさないように音を立てずに身支度し、静かに出て行ってしまったのだろう。
その優しさは嬉しいが、ちゃんと見送りたかったのが本心だ。
でももしかしたらリヴァイは分かっていたのかもしれないとも思う。
もしも今朝互いに顔を合わせていたら、
きっとまた離れられなくなって抱き合ったまま2度寝してしまうと。
着替えてからふらりと椅子へ腰掛ける。
ここはリヴァイの部屋だ。
ふと目の前の机に目をやり、唖然とする。
「え、ない!」
いつも額縁に入れて置いてあるはずの、あの画家が描いてくれた自分の姿の絵がないことに気がつく。
「あ、そっか…リヴァイ…」
リヴァイが今日ここから絵だけを取り出して持っていったのだと分かる。
額縁だけになっているそれを手に取りながら猛烈に襲ってくる虚しさを噛み締めて目を瞑った。