Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第34章 ラベンダー畑の真ん中で
「とんでもない高値で売られていたわあの子。でも私は仕事柄、人よりお金があった。…私も子供の頃、情報屋の高級娼婦として売られて育てられてきた身だから家族を知らない。リンクも私も同じ境遇なのよ。」
「…そう、だったんですか…」
ルーナは初めて聞く2人の残酷な境遇に胸を痛くして俯いた。
「だからね、ルーナさん。あの子は私の弟でもないし子供でもないから、そんなに気を使ってくれなくて大丈夫なのよ」
にっこりと笑ってルーナに視線をくれるアリーからの言葉は珍しく論点の定まらないおかしな内容だと思ってしまった。
「あの…」
「あ、このこと別に内緒の話でもなんでもないからリヴァイに洩らしても大丈夫よ。」
ルーナの困り顔を見て悟ってくれたのか最後にアリーは明るくそう付け加えた。
「僕、馬になんて初めて乗ったよ〜!見えないけど高い位置にいるってことが分かる!」
さぞ楽しそうにはしゃいでいるリンクにリヴァイはわざと呆れ声で言った。
「おい、あまりはしゃぐな。落ちたら死ぬぞ」
「えぇ?!そんなに高いの?!」
突然素っ頓狂な声を上げ身震いし出すリンクに目を細めて顔を緩める。
「高いところから見る世界って、どんな感じかなぁ?」
「・・・さぁな。俺にもわからん」
生暖かいラベンダーの香りの風が2人の前髪を揺らした。
同時にたなびくウルフのたてがみを撫でながらリンクが言う。
「僕はたまにね、思うんだ。この世界が見えなくて良かったかもしれないってね…」
「・・・?」
リヴァイは突然何を喋り出すんだと言った顔で僅かに目を見開いた。
「僕はさ、目が見えない分感覚が鋭いから分かるんだ。聞こえてくる音も空気も声も…皆何を考えているのか大体わかる。僕が売られた時からね、人間は残酷な生き物なんだってね、分かってるんだ。」
「・・・売られた時?」
リヴァイの怪訝な問いは聞こえていたのかいなかったのか、リンクはそのまま話を続けた。
「リヴァイ兄ちゃんの大半を占めているのは恐怖だね。僕には分かるよ」
リヴァイは思わず息を飲む。
心音が大きくなり今の状況が掴めなくなってくる。