Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第28章 団長と兵士長
エルヴィンは一つだけ、あることが気にかかっていた。
この状況だ。確実にリヴァイは自虐的になっている気がする。
「リヴァイ…まさかとは思うがお前は…」
「…あぁ?」
神妙な面持ちで言葉を噤むエルヴィンにリヴァイはイラつきを抑えきれないと言ったような顔で睨みつけた。
「お前はそのままここを去ろうとしているんじゃないだろうな?」
沈黙が流れる。
エルヴィンもリヴァイもどちらとも顔色ひとつ変えずに睨み合っている。
最初に口を開いたのはリヴァイだった。
「いいか?エルヴィン。俺は自分の意思でここにいる。属してる以上規律やてめぇの命令には従ってる。だがな、気に入らなければいつでも出ていく。俺は誰かに首輪を付けられたペットじゃねぇからな」
エルヴィンはフーっと長い息を吐くと、ソファーにドカッと腰を下ろした。
それに釣られてリヴァイもソファーの肘掛に腰を下ろし不機嫌そうに腕を組んだ。
「リヴァイ…わかってるさ。俺はお前を縛ったつもりは無い。嫌になれば離脱する自由がある。好きにすればいい。」
エルヴィンの一人称が"俺"になるときは、団長ではなく本当の自分自身として対話をしている時だ。
リヴァイはその言葉を聞くと満更でもない様子で鼻を鳴らした。
しかし次の言葉で表情を一気に歪ませる。
「だがなリヴァイ。お前が逃げたら俺は追う。」
「…あ?」
「出ていく自由がお前にあるなら、追いかける自由が俺にだってあるはずだ」
「てめぇ…そりゃあつまり俺に兵団を出る権利はないと言ってるも同然じゃねぇか」
「そうは言ってない。ルーナと共に死に物狂いでお前を捕まえてきたんだ。お前を今更手放せるわけがないだろう」
エルヴィンの鋭い眼光がリヴァイの狼狽える三白眼を突き刺す。
なんとも言えない異様な空気が漂っていた。