Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
「クラム、メリッサ。いいか?よく聞けよ」
そう言ってカイルは隣にいるサラの肩を引き寄せた。
「んあっ!ちょちょっと!カイル!」
サラは慌てて押しやろうとするが、力強く抱かれた肩は微動だにしない。
その場でカイルは無理やりサラの頬を掴みキスを落とした。
サラの顔が一気に赤くなり、力いっぱいカイルを引き剥がす。
「な、なにやってんのよ!ばか!こんなところで...」
クラムとメリッサは目を丸くし言葉を失って固まっている。
「俺はこいつをどうやって手に入れたと思う?
サラはな、昔からずっと恋焦がれてた奴が死んで、それでもそいつを頭のどこかでは忘れられずにいた。その上リヴァイ兵長にもずっと片想いしてた。お前らも知ってるだろ?」
固まった表情のままクラムとメリッサはこくりと小さく頷いた。
「そんな状況でも俺はこの女を手に入れた。それは俺が諦めなかったからだ!ずっと。」
その言葉に2人の表情が僅かに変わり、サラの表情は照れたように歪む。
「結果こいつは今では俺のことを存分に愛してる。
はっきり言って俺は好きな女を手に入れるためならどんな手でも使った。こいつのことをそれだけ好きだった以外にも理由はある。俺らの命は長くないからだ!」
全員のヒュッと息を飲む音が響いた。
カイルは表情を変えないまま真剣に続けた。
「俺らは近々確実に死ぬ。なら少しの間だけでも自分の気持ちに正直に生きるべきだ。なぁ…死ぬよりも怖いことってねぇはずだろ」
「・・・」
「そもそも俺らは昔っから…怖いもん知らず、だろ」
口角を上げ始めたカイルに、クラムとメリッサは衝撃を受けたように固まっていた表情が僅かに緩むのを感じた。
「罪悪感なんて捨てちまえ。どうせ俺らはあの上官方に殺される立場だ」
その視線の先には、ルーナたちの元へ分隊長クラスの面々、副分隊長のモブリットなどが集まってきていた。