Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
「おい、お前らはこのまんまでいいのか?」
カイルの一言に、その場にいたクラムたちがルーナたちから一斉に視線を外し声の主を見た。
カイルは眉を顰め、至って真剣に目の前のクラムとそしてメリッサを見つめている。
「お前ら2人はそれでいいのかって聞いてんだよ」
「いきなりなんだよカイル...どうしたんだ?はは」
わざとらしく笑い明るく返すクラムだったが、次の一言でその表情は一気に崩れた。
「お前がルーナさんを好いてることくらい俺にはお見通しなんだよ。何年一緒にいると思ってる。」
視線を逸らし俯き気味のクラムを、サラとメリッサも気まずそうに見つめる。
「それからなぁ、お前もだメリッサ。お前は昔からずっとリヴァイ兵長に憧れてきただろう。兵長を追っかけてここまで生き延びた。お前ら親友のことは俺が一番よく知ってるからな」
その言葉に、メリッサの体がピクンと揺れる。
カイルはふんっと鼻を鳴らすとごくごくと水を飲み干した。
なんとも言えない居心地の悪い空気感が流れ、しばしの沈黙の末、初めに口を開いたのはクラムだった。
「...だったらどうしろってんだ?ルーナさんはもうとっくにリヴァイ兵長のもんなんだ。人の奥さんに手を出すほど俺は馬鹿じゃねぇよ...」
「そっ...そうだよ...私だって...いくらリヴァイ兵長のことがス...スキでも...もうあの二人は指輪までしててっ...生涯の愛を誓い合ってる...私たちの入る隙はない」
カイルは俯く2人を交互に見つめ、厳しい視線のまま言い返す。
「で?だからって諦めるってのか?」
「おいお前話聞いてたか?!」
バッと顔を上げたクラムは珍しく怒ったような顔でカイルを睨んだ。
「聞いてたさ。なにもせず諦めるってとこまではな。」
「はっ?!だから俺らは諦めるんじゃなくて!諦めざるを得ねぇんだよ!状況を見ろ!分かるだろ!」
声を押し殺しながらも荒らげるクラムから、全員の視線が奥席のルーナたちに向く。
リヴァイがハンジから守るようにルーナの前に立ちはだかりなにやら口喧嘩をしているようだ。
その様子をケラケラ笑いながらルーナが幸せそうに見守っている。