Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
クラムが食事を運んで出ていってから2時間がたった。
リヴァイはルーナの眠るベッドに腰を下ろし、ひたすらルーナの髪や頬を撫でていた。
もう2時間もこんなことをしている。
何もする気が起きず、食欲もわかない。
思考も上手く回らずただ頭がボーッとしていた。
何かを考えると、また息が出来なくなり過呼吸を起こしかねない自分を、本能が防衛しているからかもしれなかった。
またルーナの心と体が傷ついてしまった。
そして初めて注射薬を使った。
目覚める時間は個人差があると言われていたので、いつルーナが目を開けてくれるのかが分からない。
けれどその目には、一番最初に必ず自分が映っていなければならないと思いただひたすらこうしてルーナを見つめ続けている。
「ルーナ…すまない…また守ってやれなかったな…」
テーブルの上のペンダントをふと見やる。
お前だったらこの状況をどうしただろうな…
いや、お前がいたらこんなことにはなっていなかったかもしれない。
リヴァイはおもむろに立ち上がり、ルーナの部屋を見回した。
アリアの弟から貰ったという虹の絵が壁にかかっている。
アリア…あいつは元気だろうか?
そうだ、あいつに会わせてみるのもいいかもしれない。
ルーナの親しい友人だ。
随分長いこと会っていないだろう。
正直自分は会うのは気まずいが、ルーナの気が少しでも晴れてくれるなら今度連れ出してみよう。
そう思い立ち再度ルーナのベッドに腰を下ろすと、愛しい唇に軽くキスを落とした。
それだけではやはり飽き足らず、頬、鼻、瞼、額、全てにキスの雨を降らす。
こんなに誰かを愛したことは生まれて初めてだ。
こんな感情が自分にもあったのだと自分が一番驚いているくらいだ。
愛するという気持ち、共に生きている喜び、傷つく弱さ、失うことの恐怖、
そのどれもが自分にとっては初めての感情だ。
そしてそれは全て、目の前にいる最愛の存在が教えてくれた。
その柔らかい刺激が伝わったのか、ルーナが虚ろな目を開かせた。