Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
そして一気にクラムの血の気が引いた。
ルーナが引き出しから医療用のメスを取りだしたのだ。
「ルーナさん?何を…しているんですか?」
そのメスをルーナが震える手で自分の腕に当て始めた。
「やめてください!ちょっちょっと!何をするおつもりなんですか!」
急いで駆けつけその手を抑えるクラム。
「いや!離して!覚めないといけないから!!!」
「落ち着いてください!何考えてるんですか!」
バタバタと暴れるルーナだったが、クラムの手によってメスが取り上げられた。
ルーナは目を見開いたまま力が抜けたようにヘナヘナとその場に崩れ、床に手をつき苦しそうに息をしている。
クラムはしゃがみこみ、震えるルーナの体をそっと抱き締めた。
背中をひたすら擦り続けながら、今の状況を一生懸命考えた。
一体なにがどうなっているのだろう?
シンさんとルーナさんが恋仲だったことは知っている。
シンさんが死んだことを、ショックのあまり忘れてしまっていた…ということなのだろうか?
しかし今更になってそれも奇妙な話だ。
そのとき、腕の中のルーナが突然また暴れだしクラムを強く押し退けた。
「っわ!ちょっと!ルーナさん!」
床に落ちたメスを手に取ると自分の腕に刺そうと振りかざした。
それを取り上げようと、クラムがルーナの両手を押さえつける。
「離して!!いやあぁー!!!」
そのまま床に倒れ込み、クラムがルーナに覆いかぶさる形になった。
「ルーナさん落ち着いて!」
「やあぁあ!!」
自分の下でメスを持ったままのルーナの両手を頭上でなんとか押さえつけた。
その時だった。