Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
コンコン
「はいっ」
しばらくしてノックがしたかと思えば扉を開けるとやはりクラムだった。
部屋の中へ促すと、初めて上官室へ入ったのか、少々緊張した面持ちで「失礼します!」と敬礼した。
ソファーに促すとにっこり笑いながら座り、また緊張した面持ちでキョロキョロとしている。
そんなクラムがとても可愛くて顔を綻ばせながら口を開いた。
「それで、渡したい物って?」
「あぁ、はい、これなんですけど…」
懐から布に包まれたものを出し、広げてみせるクラム。
それを見たルーナは疑問符しか浮かばなかった。
なぜクラムがこれを持っているのかが、全く分からない。
それは、以前シンにあげた自分の母親の形見のペンダントだった。
彼と別れる際に、自分の本心に正直に生きていくという約束をした。
もしその約束を破ったらこれを引きちぎってほしいと言って渡したものだ。
「俺、シン班長の班員だったんですよ。ずっとシンさんに憧れてて!それもあって髪を伸ばしたりとかっ…あ!そんなことはどうでも良くて!とにかくこれをお返しします」
そう言ってテーブルの上にそれを置いた。
「えっと…これをなぜあなたが私に?」
ポカンとした表情のルーナに、クラムは少し言いづらそうに視線を逸らした。
「ずっと前からシンさんに頼まれていたんです。もし自分が死んだら、自分の首から必ずこれを外してほしいって。やっぱりルーナさんの大切なものだから、自分と一緒に棺には入れずにきちんとお返ししたいんだと…」
「・・・え?」