Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第26章 4人の影
ルーナは主に、新兵や部下たちの指導に回る日々だった。
ウォールマリア奪還作戦の日も近づいているだけあって当然どの兵士も常にピリピリとしており、そして恐怖とも不安ともとれる表情を浮かべている。
ルーナもそんな皆の気持ちがよくわかるしもちろん自分も同じなのだが、上に立つ者としてなるべく自分だけでも冷静に振る舞えるよう努力した。
立体機動で飛び回り、兵士たちの動きを観察していると、
後ろで結っている自分の髪がふわふわと前にかかってくるので煩わしくなってストンと地面に足を下ろした。
「随分と伸びちゃったなぁ...そろそろ切らなくちゃ」
ルーナは自分の髪がいつのまにか胸の下あたりまで伸びていることに気が付いた。
はぁ、と溜息をつきながら髪を結び直そうと髪結をとった。
それは赤い花の飾りが着いている可愛らしいゴム紐で、ルーナは数ある中でこれがとてもお気に入りだった。
手のひらにのせて見つめながら、目を細める。
これは以前ナナバがくれたものだった。
"ルーナに似合いそうだと思ってさぁ。
これ見る度私のこと想ってくれよな!はははっ"
ナナバはいつも自分をまるで恋人みたいに扱ってきた。
そんな彼女のことが本当に大好きだった。
けれどもう...どこにもいない...
ルーナは寂しさを振り払うようにギュッと目を瞑り、また髪を結い直そうとした時だった。
プツッ
「あぁ!!」
嫌な音を立てながら紐が切れてしまった。
それもそのはずで、お気に入りゆえにこればかり長く使ってきたし、髪が煩わしくなっていたのも単に伸びた髪のせいではなく、古くなってしまったこの髪結のせいでもあった。
そのプツッという音と同時に、ルーナの中の何かも同じ音を立てて切れたような気がした。