Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第25章 指輪と水晶
「...ルーナ、ちょっと来てくれ」
ソファーに座り、書類に何かを書き込んだり判を押したりしているルーナを一先ずこちらに呼び寄せた。
そして何枚かの書類を目の前に広げて見せる。
「これらは君のサインが必要なんだが、今ここで記入してくれるか」
「あぁ、うん。わかった。」
ルーナはペンを取り出し、何食わぬ顔でサインを書き始めた。
そのペン先をエルヴィンは神妙な面持ちでジッと見つめ続ける。
そしてみるみるうちに眉間に皺が寄り始めた。
「ルーナ...スカンロン...」
思わずエルヴィンが呟く。
「は?」
ルーナは自分のサインに視線を落としたまま訝しげにそれを読み上げるエルヴィンに首を傾げた。
「ルーナ...君の姓は・・・アッカーマンなのではないのか?
正しく書いてもらわなくては困る。」
ぽかんとした表情のまま動かないルーナ。
そして徐々に顔が赤らんでいくのをエルヴィンは見逃さなかった。
そんなルーナに、エルヴィンは呆れたように言った。
「ルーナ、水臭いぞ。私は君のことを幼い頃からずっと妹のように思ってきた。そんな可愛い妹がだ、兄に黙って勝手に事を進めてしまうなど...どれほど兄が寂しく感じるか分かるか?」
「・・・エルヴィン...あっ...お兄ちゃん...ははははっ」
ルーナのポカン顔は一気に無邪気な笑顔に変わった。
「違うよ、ふははっ...結婚してないよ」
「・・・しかし君のその指輪はどう見ても...」
あぁ...と言いながら、エルヴィンが見つめる薬指に視線を落とす。
「正式には結婚してない...けど、別にいいでしょ。可愛い妹のおままごとに付き合ってくれるくらい。」
ルーナは寂しそうに笑いながら指輪を撫でた。
エルヴィンはどう答えていいのか分からずしばし黙りこくった。