Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第24章 解離■
ルーナは夢の中でエルヴィンと話していた。
あぁ...夢の中でまたあの時のことを回想しているんだ。
不思議なことに、そう客観的にルーナは夢を見ていた。
「エルヴィン、私たちの夢の事なんだけど...」
「あぁ。俺もそれを話そうと思っていた...」
「・・・私たちの夢...この壁の中の真実...それを叶えられるのはさ...」
沈黙が流れた。長い長い沈黙。
団長室の時計の音、自分たちの鼓動の音。
「それを叶えられるのは...」
「あぁ...」
「私たち...じゃない可能性の方が高いよね」
「...その通りだ。その可能性の方が遥かに高い」
やはり考えていたことは一緒だった。
それはいよいよ分かってきていたことだった。
ただそれを認めたくないような理解したくないような
けれど現実から目を背けたくなかった。
いや背けてはならなかった。
こんなにも仲間たちが、そして人類が、死んでいくこの現状を。
結局私たちは人間だった。
悪魔にはなりきれないただの人間だった。
そもそも兵士という前にただの人間なのだという揺るがない事実を何度も何度も嫌という程叩きつけられてきた。
それから目を逸らして悪魔になりきっていた。つもりだった。
「私は夢を...そして人類の勝利を...最期まで諦めたくない。絶対に。だから...」
エルヴィンは全てを悟ったような優しい目を向けてきた。
右腕を無くした時点できっとほとんど覚悟を決めていたのかもしれない。
全てあの人に託すべきだと。
それを別にあの人が知らなくてもいい。
むしろ知らない方がいい。
こんな重圧をわざわざ課すようなことをしなくても。
あの人だけは唯一成し遂げられると。
夢、人類の勝利、全てを見届けてくれると。
その時に自分たちがいなかったとしても、
夢を叶えられることには変わりない。
その瞬間をきっとどこかで見ていられるはずだから。
あの人の姿とその光景を。
それが自分たちの夢を叶えることのできるたった一つの手段で
人類の勝利のたった一つの希望で
だから
なによりもどんなことよりもあなたを優先する
あなたには生きてほしい
あなたしかいない
あなたに全てを託す
あなたに全てを...
たとえ私とエルヴィン、みんなの命を引き換えにしてでも。
だからそれまでは
私たちは悪魔でいさせてほしい。