Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第24章 解離■
「...わかった。ひとまずはそうしてみよう。目が覚めて、正気に戻っているようだったら鎖を外す。それまでは君たちのどちらかがそばについててやれ。なにしろ私はこの状態だからな」
エルヴィンの唯一の左手は包帯に巻かれ僅かに血が滲んでいる。
それを見ながらハンジが静かに問う。
「...エルヴィン...ペンは握れるの?」
「ふっ...大丈夫さ。可愛い妹につけられた傷くらい痛くも痒くもない」
エルヴィンは鎖の鍵をテーブルに置き、下を向いたままソファーでピクリとも動かないリヴァイを一瞥すると部屋を出ていった。
「・・・リヴァイ、私は明日、知り合いの精神科医を連れてくるよ。それまでなるべく君がルーナのそばに居てやってくれ。」
「...あぁ。わかった。」
俯いた状態のまま掠れた声で呟くリヴァイの表情は見えない。
ハンジはこの場に2人だけを残して行くことはできないと思った。
「リヴァイ、今夜は私がここに残る。だから君は部屋に戻ってゆっくり寝てくれ」
「そんなことできるわけねぇだろう。この状況で、俺に悠長に寝てろだって?」
顔を上げたリヴァイはいつも通りの険しい表情だ。
「あぁ...そうだね、うん、悪かった。でもルーナが目を覚ますまで私もここにいるよ。」
「あ?なぜだ?俺一人で充分だろう。てめぇこそクソしてとっとと寝ろ」
「それはできない。」
ハンジが、緩めていた顔を一気に真剣な目に戻し強く言い放った。
「君だってまた過呼吸を起こすかもしれないだろう。あれだって精神的なものだ。誰かがついていないと呼吸の仕方を忘れてしまう。そうなったら君の命だって危ない。」
リヴァイは先程の息苦しさを思い出した。
本当に息ができなかった。
首を絞められているかのように苦しかった。
酸素が頭に回らず危うく気を失いかけた。
ハンジがいなかったら本当にぶっ倒れていただろう。
そんな自分が怖くなった。
「わかった。」
背中を丸めて素直にそう言ったリヴァイを見てハンジはホッとして椅子に腰かけた。