Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第24章 解離■
リヴァイはその日夢を見ていた。
これ以上ないほどの悪夢だった。
目の前でルーナが巨人に食われている。
なぜ俺は助けない?
なぜ俺は見ているだけなんだ?
動け!動け!俺の体!!
クソ!!どうなってる?!
血を流し、目に光がなくなり、だらりと力をなくしたルーナが巨人の胃袋の中へと消えていった。
「あああ!!!!!!」
雄叫びを上げながら目覚めた。
ガバッと上体を起こすと全身汗をかいていて息を荒らげている自分に気がつく。
「夢...か...よかった...」
ホッとしたが、最悪だと思った。
こんな夢を見ちまうなんて俺はどうかしてる...
エルヴィン、あのクソ野郎のせいだ。
あんなことをほざきやがるから...
リヴァイはまだ薄暗い窓に目をやった。
嫌な予感がした。
もしかしたら...
誰のせいとかじゃなくて...
これは...
ハッ!!!!!
リヴァイは瞬時に飛び起きて一目散に部屋を出た。
まだ誰もいない兵舎を猛スピードで駆け、一気にルーナの眠っている医務室のドアを開けた。
急いで駆け寄り、手を取って脈を確認し、
そして胸に耳を当てて鼓動を確認する。
「はぁ...」
リヴァイはルーナの無事に安心したように長い息を吐き、ドカッと椅子に座った。
そして、自分が今まで息を止めていたのだということに気付き、息を荒らげて呼吸を落ち着かせた。
しかしその安堵と同時に、とてつもない恐ろしさが込み上げてくるのがわかった。
"こいつが死んだら俺も死ぬ"
エルヴィンに言った自分の言葉が木霊する。
冗談で言ったんじゃねぇよ...
俺はこいつがいなくなったら生きていけない...
俺の生きる意味がなくなっちまう...
俺だっておまえらみたいに 夢のために生きたっていいだろ
俺の夢は...
ルーナが夢を叶えるところを見ることだ。
ルーナの頬を触る。温かい。
この温もりが消えた時...俺は絶対正気じゃいられねぇ。
ハンジ、お前の言った通りだ。
俺もお前と同じように、正気が保ててるのは今だけだ。
「ルーナ...」
そっとキスを落とした。
この温もりをずっと...ずっと...永遠に感じさせてくれ、と祈りを込めて。