Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第5章 2人の夢
あれはいくつの時だっただろうか。
とにかく自分も彼女も幼かった頃のことだ。
エルヴィンは窓の外にゆらゆらと光る電灯を見ながら随分昔の忘れられない記憶に思いを馳せた。
その時も、エルヴィンの必死に止める声も聞かずずんずん森の奥へ歩いていってしまうルーナ。
「どうして?何があるかも分からないのに何が怖いって言うの?」
前を向いたまま言うルーナ。
「...いや、怖いとかじゃなくて...」
「怖いんだよ、エルヴィンは怖がってる。男のくせに弱虫!」
少しカチンと来たエルヴィンは、彼女の背中を睨みながらやけくそになって必死に追いついた。
「ねえ!あの木のてっぺんまで登らない?」
そう指さす先は小さい子供にはあまりにも無謀と思えるほど高かった。
「えっ!?いや、無理だって。」
戸惑うエルヴィンには目もくれず、幹をつたいどんどん登っていってしまうルーナ。
「ちょ、ちょっと!本当に危ないって!何かあったら叱られるよ!!」
「だから何があるかわからないのにどうしてそんなことがわかるって言うの!エルヴィンはそれでいいの?!わからないままいつも立ち止まって!そのまま何も犠牲にせずただ動かないで、なにがわかるって言うの!」
その言葉をエルヴィンは一生忘れられなかった。
「ほら。」
たくさんの汗で光った顔で見下ろしながら手を伸ばすルーナ。
エルヴィンは必死に手を伸ばしその手を握った。