Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第23章 叫び■
「シンさんは...誰よりも優しく、そして勇敢な兵士でした。最期は...私を...庇って...何発もの銃弾を身体に浴びて...恐らく即死だったと思われます。」
それを聞いたシンの妹がガタリと音を立てて立ち上がった。
睨みを効かせた潤んだ瞳でルーナを凝視している。
こうなることは当然のように予想していたのでルーナは覚悟を決めている真剣な表情で妹を見つめた。
「お兄ちゃんは...あんたの代わりに死んだってことよね?!本当だったらお兄ちゃんは生きていた!あなた上官なんでしょ?!なんでお兄ちゃんに助けられてんのよ!」
「やめなさい!レナ!」
心臓にグサグサと鋭い言葉が突き刺さる音がした。
しかしルーナはしっかりとその刃を受け止めて目を瞑る。
シンがいつだか言っていた話を思い出した。
妹は自分とは正反対の性格をしているのだと。
しかし誰よりも素直で純粋な心の持ち主なのだと。
そして、いつかルーナに会わせたい。
そう笑顔で語っていた。
こんな形で初めて顔を合わせてしまった私たちを、シンは天国でどう思って見ているだろう...
ごめんなさい...シン...
「あんたのせいでお兄ちゃんは!!」
涙を流しながら必死に咎めるレナの顔をもうこれ以上見ていることができなかった。
「レナ!なんてことを言うの!!!」
「いえ、その通りです。全て私がぬるかったせいなんです。」
ルーナは目を伏せたまま呟いた。
「シンさんは本当なら生きているはずだった。生き残るべき人だった...ごめんなさい...」
「なによそれ!どうせ捨て駒としか思ってなかったんでしょ?!現にあんたたち2人とも涙の1つも流してないじゃない!!」
ハッとルーナは俯いたまま目を見開いた。
本当にその通りだと思った。
涙すら一滴も流れないほど自分は酷い人間だ。
シンだけじゃない。ポーラおばさんもミケもナナバのときも...
誰かを思って涙を流すことなんて1度だってなかった。