Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第23章 叫び■
道中2人は何も話さず重苦しい雰囲気のまま最後の家へ向かっていた。
そういえば、リヴァイの敬語は初めて聞いた気がするとルーナは思った。
リヴァイは普段、どんなに目上の人に対しても敬語など一切使わないどころか誰彼構わずかなり口が悪い。
ルーナがヒヤッとしたことが何度もあるくらいだ。
敬語を使えないのだろうと思い込んでいたのだが、今日のリヴァイは別の人格になってしまったのではないかというくらいルーナの知っている彼ではない。
シンの実家は、花屋ということもあって色とりどりのたくさんの花々が外まで溢れ、広い花壇がいくつもありそこは1つの楽園のようになっていた。
こんなに悲しく悔しいことがあったのに、その空間はまるでシンの心の内を存分に晒しているようにさえ見える。
ルーナが彼とよく育てていた花も所々に目に入る。
ルーナは目を細めて呟いた。
「シン...」
「まぁ...リヴァイ兵士長さんに団長補佐官のルーナさん...ですね?どうぞお入りになって下さい」
花壇で水やりをしていたエプロン姿の女性は恐らくシンの母親だろう。
シンに良く似た、仏のようなあの優しい笑みを浮かべてルーナたちに近寄ってきた。
シンの両親は、彼によく似てとても物腰の落ち着いた優しい雰囲気を身にまとっていた。
快くルーナたちを中へ引き入れ、ハーブティーを差し出してきた。
ルーナとリヴァイが座った先にはテーブルを挟んでシンの両親が座り、それを見渡すようにしてシンの妹が角に座りこちらを睨んでいる。
当然ハーブティーを飲む気にはなれない。
こんなことまでしてもらう立場ではないし、これから自分たちはシンの最期をこの人たちに報告しなくてはならないからだ。
沈黙が流れる。
3人の遺族は、ルーナかリヴァイが口を開くのを待っている。
ルーナは俯いていた顔を上げ、意を決して口を開いた。