Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第21章 奈落
だがここ数日に起きたことは悲しんでいる余裕すら与えてくれなかった。
ルーナのかつての教え子であった104期メンバーの
ライナーとベルトルト、ユミルが巨人だったと言う事実に、その3人にエレンが攫われたということ。
エレンを奪還しにルーナ含む調査兵団が赴き、奪還は成功したがその際エルヴィンの右腕が食われたということ。
ライナーたちはそのまま消息をたってしまったということ。
どれもがあまりにも信じがたく、そしてショックな真実だった。
ウォールローゼの住民は、第2の壁が突破された際の模擬訓練の通り、ウォールシーナ内の旧地下都市に避難することとなったが食料の備蓄は1週間が限界だった。
ウォールローゼ内の安全が確認されたのは問題が発生した1週間後だった。
「ていっても、その1週間でウォールローゼは安全だと言い張る他なかったわけなんだけどね...」
右腕を失ったエルヴィンのベッドの横でルーナがため息混じりに呟いた。
「エルヴィン、せっかく話ができるまで回復したのにこの1週間は聞くだけで寝込みたくなるようなことしか起きてねぇぞ」
リヴァイは足を組みながら無精髭を生やした顔色の悪いエルヴィンを一瞥する。
「いいや、寝飽きてたところだ。」
「右腕は残念だったな」
「エルヴィン...守れなくてごめん...」
「何言ってるんだ。今まで俺が巨人に何百人食わせたと思う?腕1本じゃ到底足りないだろう。いつか行く地獄でそのツケを払えればいいんだが」
ルーナはなぜ自分がエルヴィンを守れなかったのだと言う悔しい思いばかりが募り、泣き出しそうな顔で俯くと、心の内を見透かしたようにエルヴィンが笑った。