Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第21章 奈落
「そ...んな...どうして!嫌だっ!嫌だよナナバ...」
破壊されたウトガルト城の残骸の中から運ばれてきたナナバにルーナは必死に声をかける。
ナナバの身体は血まみれで、誰がどう見てももう助からない状態だった。
「ルーナ...」
「ナナバ!!!」
最期の力を振り絞って名前を囁くナナバの手をとり、震えるルーナ。
「最期に...ルーナの顔...見れて...よかっ...たよ...」
徐々に体温がなくなり、目の色もなくなっていくナナバに、ルーナはただただ手を握りしめることしかできない。
リヴァイは顔を歪めて2人の前へしゃがみこんだ。
何も言わずにじっとナナバを見つめる。
「リヴァ...イ...ルーナを...頼むぞ...」
リヴァイはそっともう片方のナナバの手をとって静かに言った。
「お前...まだ俺と勝負ついてねぇだろ」
「はっ...なに...いってんだよ...初めから...勝負はついてんだろ...」
ナナバの手が一気に冷たくなり、脈がなくなったのが2人には分かった。
「そんな...ナナバ...目を開けてよ...」
ルーナは受け入れられなかった。
大好きなナナバの魂が今、抜けていってしまったということを。
リヴァイも目を伏せながら歯を食いしばっていた。
ウォールローゼ内に突如発生した巨人たちを討伐しに行ったミケも行方不明で、恐らくはもうこの世にいないのだろうということをルーナもリヴァイも悟っていた。
大好きな大切な仲間を2人も失った。
そのあまりにも辛く残酷な現実はとても言葉で言い表せるものではなかった。