Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第20章 証拠■
「すまない。許してほしい」
リヴァイは身体を向け、背の高いシンを見上げて静かに言った。
「・・・はい?」
「お前の言葉を否定して逃げていたことと、お前からルーナを奪うことをだ。」
冷たい風が二人の間を横切り、花壇の花が揺れ動いた。
「お前は全て正しかった。俺は自分の気持ちに目を背けてルーナをお前に押し付けて逃げてただけだった」
リヴァイは、シンの涙の跡に気付き顔を歪めて視線を落とした。
この男もルーナを本気で愛していたのだろう。
それなのにあの時俺にルーナの傍にいろと強く言った。
こいつは俺よりも全然強い男だ。
「そうですか...でも僕からルーナさんを奪うっていうのは違いますよね。ルーナさんは初めからずっとあなただけの女性です」
リヴァイは神妙な面持ちでシンを見上げた。
シンは仏のようなまっさらな笑みを浮かべている。
「それに僕は、1度だってルーナさんを守れなかった。守っていたのはいつもリヴァイ兵長あなただったでしょう。僕だってあなたに命を救われた」
シンは、リヴァイが巨人から自分の命を助けてくれたことと、ルーナを助け常にルーナを見ていたことを思い浮かべた。
「本当に憧れますよ。あなたには。とてもじゃないけど敵わない」
「いや、お前は俺よりも強い男だ。俺とルーナが、お前に助けられたんだ」
「はは...何を言ってるんです。僕はいつもただ泣いてばかりで弱い奴ですよ」
シンは自嘲気味に笑いながら言った。
「力だけがある奴を強い奴とは言わない。お前は強くて逞しい男だ。俺なんかよりもな。」
シンが目を見開いてリヴァイを見ると、そこにはいつもの鋭い目をした黒い瞳が自分を睨みあげていた。
この人と親しくなったら、このいつも変わらない険悪な表情の本当の意味を理解できるようになるんだろうか?
そんなことをなぜか考えてしまった。