Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第4章 噂
窓から見える木々からは木の葉が落ち、風がそれらを巻きとっていた。
「もうすぐ冬か...寒くなりそうだね」
「あぁ。極寒が来る前に一つ付き合ってほしいところがあるんだ」
「え、どこ?」
「明日だ。明日の夜、体を開けといてくれ。ちょっと久々だがね、毎度おなじみの夜会が開かれる。今度の壁外調査の前にして最後の大仕事だ。そこに恐らくロヴォフも現れる。」
「えっ!急すぎるよっ!」
「すまないな…。私一人で行こうかと迷っていたんだ。
おそらく向こうも君に前回やられたと気付いただろうから、今回はひょっとすると君に危険が及ぶ可能性があるからな…」
それでもやはりルーナを連れていくことにしたのは、こういう場面での1番の切り札に違いないからだ。
彼女がいるといないとでは大違いであり、エルヴィン1人の存在よりも何倍も価値があった。
しかし戸惑う理由の1つとしては、
今まであまりにもルーナに負担をかけすぎているからだ。
平気な顔を貼り付けてはいるルーナだが、それが逆にあまりにもかわいそうで……
夜会の後、エルヴィンでさえ罪悪感を感じずにはいられない。
(そう思いつつも…結局手段を選ばず、
彼女を駒として使い続けている悪魔なんだがな…)
エルヴィンは眉を寄せてから自嘲気味に口角を上げ、ため息を吐いた。
「...そう...分かった。明日の夜ね...」
そんなエルヴィンを理解しているように、ルーナは眉ひとつ動かさない、覚悟を決めているいつもの表情だ。
この態度にはいつも圧倒させられてきた。
「あぁ。だがくれぐれも気をつけてくれよ」
「今更、誰に言ってるのよ」
誰もがゾクッとする冷徹な笑み。
「新しいドレスは用意しておく。君に似合いそうなのをね。」
何も言わずに俯くルーナにエルヴィンは念を押した。
「やるべきことはわかるね、ルーナ。」
ルーナはゆっくりと視線を上げて冷たい目でエルヴィンを見る。
「それは...私を部下として命令しているの?それとも幼なじみとして?それとも...女として?」
エルヴィンは1度視線を下げ、もう一度上げて暖かい顔を向けながら
「ふっ...今更じゃないかルーナ。」
そう言うと、コクリと頷いた。
それを見てルーナもコクリと頷いた。
これは覚悟を決めた2人のいつもの合図。