Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第19章 弱点■
今にも目だけで人を殺めそうなほど睨みあげるリヴァイに、その男は完全に憔悴しきり、へなへなと床に崩れ落ちた。
「おい!とっとと答えろグズ野郎」
そう言って逆手でナイフの切っ先を向けられた男は何とか声を絞り出した。
自分はモリスに雇われている者で、ルーナが隠し持っていたナイフを預けられたのだと。
「そのモリスって野郎はどこにいるんだ!」
リヴァイの怒鳴り声に気づいた貴族や給仕たちがザワザワと廊下に集まってくる。
男はリヴァイのあまりの気迫にわなわなと唇を震わせ声が出せないでいた。
「おい!早く言え!そうすればお前の命だけは助けてやる」
その男がなんとか絞り出した行先は屋敷から割と近い場所に位置していた。
モリスの別荘らしい。
リヴァイはエルヴィンと馬車を急かした。
「遅い!頼むからもっと早くしてくれ!」
「これ以上は無理ですよっ!」
先程からそんなやり取りを何度もしている。
エルヴィンはなんとか冷静さに努めていたが、リヴァイは今までにないほど殺気立っている。
「...なぁ、リヴァイ。それをこっちに寄越さないか...」
エルヴィンはリヴァイが震える手で握っているナイフを見て言った。
「あ?」
そう言って自分に向けたリヴァイのあまりにも恐ろしい形相にエルヴィンは口を噤んだ。
なんとも言えない張り詰めた空気が流れ、こんなに居心地が悪い気分は初めてだとエルヴィンは目を閉じて考えた。
どうにかしてそのナイフをリヴァイから取り上げなくては想像している通りのことになってしまう...と。