Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第17章 見えない瞳
「おいおい待て待て...なぜこんなに後ろなんだ、お前はエルヴィンと同じ位置につくべきだろう」
「後方から全体を見守り状況把握と指揮するのが私の役目の方がいいと思うんです。前方にはエルヴィンやハンジたちがいれば大丈夫。しかも今回は初めて壁外調査に出る新兵もいるんです。私が後方の目にならないと...」
「だが、そしたら目標地点に先回りできねぇだろう」
「大丈夫です。リルなら...」
「・・・そうか。リルは速ぇから...な...」
私の名前はずっと呼んでくれてないのに、私の愛馬の名前は...呼んでくれるんだね...
ルーナは少し寂しそうな顔をして頭を上げると、ハッと息を飲む。
リヴァイが眉に皺を寄せ、目尻を下げ、なんとも言えない悲痛な表情を浮かべてルーナを見つめているからだ。
こんな顔をするリヴァイはいつぶりに見ただろう...
どうして・・・
どうしてそんな顔をするの・・・
なぜそんなに悲しそうな...辛そうな...心配そうな...
「なん...で...」
心の声が洩れ、急いでルーナは口を噤んだ。
トサッ
自分が指さす手に何かが置かれた。
え?
ゆっくり図面上の自分の手を見ると、リヴァイの手が優しく包み込んでいた。
「お前・・・ぜっってぇ...死ぬなよ...」
ギュッとリヴァイの手に力が入り、ルーナの手が掴まれる。
リヴァイ・・・
思わず呟きそうになるが、グッと堪えて歯を食いしばった。
「絶対死なない...リヴァイ兵長も...どうか...死なないで」
そう言ってルーナはリヴァイの手を握り返した。
これでもかと言うほど強く...強く...
死んでほしくない。その思いと呼応するかのように。
リヴァイは何かに気づいたように表情を変えてもう一方の手でポケットから懐中時計を取り出した。
「悪ぃ...ガキの所へ戻らねぇと」
そう言ってゆっくり手を離し、ルーナを優しい瞳で見つめ返してからそのままエレンの元へ向かうため部屋を出て行ってしまった。
「お揃いの懐中時計...まだ使ってくれてるんだね...私も使ってるよ」
ルーナは静かに呟いた。
リヴァイ・・・どうしてそうやって私の心を掻き回すの...
あなたはもう私のものじゃないでしょ...
ルーナは残されたリヴァイの手の温もりを感じながらギュッと拳を握った。