Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第17章 見えない瞳
「うわあああああああああああぁぁぁ!!!」
ハンジの叫び声が響く。
生け捕りにした2体の巨人が何者かによって殺されたからだ。
「夜明け前に2体同時にやられたらしいぞ。見張りが気付いた時には立体機動で遥か遠くだ」
「貴重な被検体なのに...一体どこのバカが...」
様々な憶測が飛び交う。
「ソニー!!!ビーン!!!うわあああ!!!」
2体の巨人につけていた名前を叫びながら我が子を失ったように泣きわめくハンジをルーナは宥めようとしたが、エルヴィンに呼び止められる。
「ルーナ。話がある。それからリヴァイも」
今までにないほど険しいエルヴィンの表情に、さらにリヴァイと同時に呼ばれたものだからルーナは緊張した面持ちで跡をついて行った。
「どう思う?」
団長室に入るやいなや、真っ先にエルヴィンはルーナに聞いてきた。
「巨人を調べられると不都合な人がいるんでしょうね。しかも...兵士の中に...」
「その通りだ。兵士の中に敵が紛れ込んでいる可能性があるということだ」
「ならどうやって炙り出す?新兵やほかの兵団も例外じゃねぇんだ。かなりの数がいる。」
リヴァイが腕を組んだまま微動だにせず言った。
「次の壁外調査を利用しようと思う。そのためにまず調査兵団勧誘の演説で私がエサを放つ。」
「...あっ、エレンの地下室の話をするってこと?」
ルーナが思いついたように言う。
「あぁ、そうだ。壁外調査には新兵たちも連れていく。そしてお前たちには誤った作戦企画書をいくつか作成してもらいたい。エレンの配置を誰にも悟られないよう長距離索敵陣形の配置パターンを変えたものをだ」
「わ、わかった」
「・・・」
リヴァイは隣で黙りこくったままだ。
「本当の目的と本物の企画書を知ることができるのは少なくともウォールマリアが破壊されるより前つまり5年以上前からいた兵士のみとする。私がエサを撒き、お前たちが網を放つ。覚悟はいいか?」
ルーナは生唾を飲み込みコクリと頷いた。
リヴァイは頷く代わりに短いため息をつく。
「では早速取り掛かってくれ。ここを使ってくれて構わない」
エルヴィンはそう言い残し、出ていってしまった。
きっと2人に気を使ってくれたのだろう。
今の2人は、ルーナの執務室を使うのもリヴァイの執務室を使うのも気が引けるだろうと...