Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第17章 見えない瞳
「あ、あのっ、お名前・・・をお伺いしても?」
帰り際にルーナが恐る恐る聞くと、女性は少し迷った顔をして、うーんと唸ってから言った。
「あなたには本当の名前を言っておこうかしらね。アリーよ。あなたのお名前は?」
「...ルーナです。」
ヒューーーっと生暖かい風が吹き、アリーのポニーテールとルーナの長髪が同時に揺れた。
アリーはリボンを解き、ファサっと美しい髪を下ろしながら言った
「またお会いしましょう。ルーナさん。私昼間はよくこの辺にいるから。ほら、その地図に丸く印つけてあるところ、そこで働いてるのよ私」
ルーナは急いで地図を見た。
丸く印がしてあるのは...ブティックだろうか?
「あっ、そうなんですね。今度遊びに行かせてください」
「...ええ、もちろん」
アリーはそう言ってウインクし、リンクの手を引き去っていった。
ルーナはずっと止まっていた息を吐くように長い溜息をつき、思いっきり酸素を肺に入れて呼吸を整えた。
まだ心臓がバクバク言っている。
敵わない...
あんなに美しくて優しくて上品で話も上手で...仕草も何もかも全てパーフェクトな女性になんて...
リヴァイが惚れるのも納得だ。
女の自分でさえ惚れそうになってしまったのだ。
いろいろな意味でショックが大きかった。
けれど・・・また会いたい。
別にリヴァイを奪い返すとかそういうんじゃない。
単純に、アリーといるのは心地よかった。
なぜか惹かれてしまう。また会いたい、話したいと。
アリーは...リヴァイのことを心から愛してくれているだろうか?
大切に思ってくれているだろうか?
どうかそうであってほしいと思った。
アリーならリヴァイにぴったりの女性だ。私なんかより。
良かった・・・
これが私の本心だ...絶対これが...私の本心だ。
必死に自分にそう言い聞かせる。
にわかには信じ難い運命のイタズラだったが、ルーナは2人の幸せを願った。
そして・・・リンクという少年の幸せも。