Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第17章 見えない瞳
「ありがとうございます...ルーナ教官...久しぶりです...よね」
エレンはルーナに血を拭われながら痛みに耐えるような顔で言った。
「もう教官じゃないからそう呼ばないでよ。これからは同じ仲間だよ。今までいろいろと大変だっただろうし...これからも大変だろうけど...私にできることあればなんでもするから...」
リヴァイはルーナたちをチラチラ見ては舌打ちをした。
その優しい表情で異性に触れているというのがなんとも胸糞悪い。
この期に及んで...俺はまだ...
自分の幼稚さへのイラつきを誤魔化すようにドカッとエレンの横へ腰掛けた。
ルーナとエレンがビクッと身体を揺らした。
「なぁエレン、俺を憎んでいるか?」
「...いえ...必要な演出として...理解してます」
「ならよかった」
そう言ってリヴァイはチラとルーナを見ると、強ばっているルーナの瞳が瞬時に逸れた。
その異様な空気に、エレンは2人を交互に見つめポカンと口を開けた。
あれ?以前会った時の2人とはまるで違う...
もしかして俺の記憶違いか...?
いや...でも2人は確かに...
...まさか喧嘩か?
その後、エレンを兵舎へ連れていく道中も、ルーナとリヴァイのあまりにも他人行儀な不気味な雰囲気に、まだ恋愛というものをしたことがないエレンは「大人の恋愛の喧嘩」ってこうなのか?
とドギマギするしかなかった。
しかし、2人が目を合わせていない時のそれぞれがそれぞれを見つめる視線はどう考えても喧嘩というには不自然極まりなかった。
「絶対に2人はまだ想い合っている」
エレンは確信していたが、口出しすることではないと思い見て見ぬふりをした。
今この場で2人の感情を一番把握しているのは誰よりも、ましてや本人たちよりもエレンであるかもしれなかった。