Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第16章 トロスト区攻防戦
「お前は充分に活躍した...そしてこれからもだ。お前の残した意思が俺に力を与える。約束しよう!俺は必ず!巨人を絶滅させる!」
なんと甘美な響きだろうか...
これ以上、死にゆく兵士を安心させる言葉があるだろうか。
息を引き取ったその兵士がリヴァイの言葉を最後まで聞いたかは分からない。
しかし、聞こえていたならば、安らかな最期を迎えられたに違いないだろう。
ルーナはリヴァイの眉をひそめた悲しそうな横顔を見て、
やっぱりあなたはどこまでも優しいと確信した。
きっと誰よりも部下思いで誰よりも強く誰よりも大きな翼なのだろうと。
やっぱりあなたは「私だけの男」でいてはいけなかった。
よかった...私は、私たちは、道を誤ってない...
「退却だ!」
そう叫びながらただならぬ空気を纏いエルヴィンが馬で駆けてきた。
「退却だと?まだ限界まで進んでねぇぞ?俺の部下は犬死か?理由はあるよな?」
リヴァイがこれでもかというほど睨み上げながらエルヴィンに言った。
「巨人が街を目指して一斉に北上し始めた!5年前と同じだ、街に何かが起きている。」
その場にいた全員が驚きのあまり言葉を失った。
「壁が・・・破壊されたってこと...?」
ルーナが唇を震わせながら言った。
コクリとエルヴィンが頷く。
一瞬、チラリとリヴァイと目が合った。
何かを言いたそうな顔だったが、自分より先に目を逸らされてしまった。
とにかく今は急がなくては...
ルーナたちは街を目指して準備を始めた。
お願いだからもうこれ以上...皆から大切な人を奪わないで...
そう願いながら。