Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第3章 call of silence
「あっ、わたしが涙が出なくなったときの話をしてたんだよね。父が死んだ時はね、涙出たよ、少しだけ。なんか実感わかなくてね...突然のことすぎて...」
心臓に置いていた右手を下ろしてまた空を見上げるルーナ。
しかしリヴァイは彼女から目を逸らせないでいた。
「今思うと父が死んで母は何かを悟っていたと思う。きっと私と同じことを...考えていたかもしれない。
悲しみが落ち着く頃、遺品整理をしようとある日2人で父が誰も入れなかった部屋を整理してたの。そしたら突然憲兵が来て、なにかを叫びながら母に銃口を向けた。近くにあった医療用のナイフで母を守ろうと憲兵の男に飛びかかったの。その男を母がなぜか庇って...私は...ナイフを...母の心臓に突き刺してしまった...」
ルーナは自分の手を見つめ、そして強く握りしめた。
「今でもその感触は残ってるよ。その瞬間から、私は涙を流せなくなった。一滴も...」
月明かりのせいか、妖艶に揺れるその姿を、リヴァイは少し不気味に感じた。
「母は最期の力を振り絞って、ルーナ生きてっ...って。きっとあの時私が憲兵を殺していたら、確実に私も殺されたから。全ての望みを自分の命と引き換えに...」
「そうか...でもそれはお前が母親を殺したことにはならない」
リヴァイは静かに呟く。
ルーナは視線をリヴァイに移し、眉を下げたままうっすら笑って言った。
「その後に私はなんて言ったと思う?その憲兵にね、両親が全て悪かった。私が殺した。って言ったの。」
「………。」
「その後、その憲兵の持っている銃を奪って…
まだ僅かに息のある母を撃ち殺した……」
「…それは…お前が母親を苦しませないためにしたことだろう」
「……物は言いようだね…
そのあとの事情聴取でも、私は両親が大嫌いで、ずっと殺したかっただのと、今になって思い返すと呆れるくらいの方便を憲兵に並べ立てていた」
ルーナはゾッとするほど冷たい表情で語りながら手のひらを見つめている。
「そして私はその時から誓った。
私はいつか、全てをこの手に掌握すると…。
何を犠牲にしても。絶対に…」