Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第15章 無の世界■
その兵士はルーナに近づくと、隣にしゃがみ、花を見つめた。
「こっちはマーガレットで、こっちはスターチスです」
よく見ると、肩より少し下まであるだろう長い髪を後ろに縛っている。
「そうなんだ。花に詳しいんだね」
ルーナがニコリと笑って言うと、一瞬何かに気づくようにルーナの笑顔をジッと見つめてから、目を細めて笑みを返してくれた。
なんて優しく綺麗な笑顔だろう。
ルーナが正直に感じた彼への第一印象だった。
彼の目は、笑うと瞳も白目も見えなくなるくらい細い弧を描く。
今まで見た事のないくらい優しく、まるで神様のような笑顔だった。
その笑顔を見て、ルーナの顔も自然と笑顔になっていた。
そんな自分に気づき、ハッとなる。
「作らない笑顔」はどのくらいぶりだろうと。
「あ、僕はシンって言います。あなたは団長補佐官で有名ですからもちろん存じ上げてますよ。ルーナさんですよね」
言葉遣いまでとても丁寧で綺麗だ。
今まで口の悪い人と長いこと一緒にいたからだろうか?
シンの一挙一動にルーナは驚いてしまった。
シンが笑顔のまま差し伸べる手を握り返すルーナ。
「僕の実家は花屋なんですよ。実家から送られてくる種や苗をここに植えているのは僕なんですよ」
「えっ?そうだったの?知らなかった。最近私、ここの花たちに癒されてるの」
ルーナはそう言って花壇を見ながら寂しそうに笑った。
シンはそんなルーナの表情を見つめながら返した。
「じゃあ、あなたが眺めて本当の笑顔になれる花をもっと植えますね」