Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第15章 無の世界■
ドンドン...キィィー
扉を叩く音がしたかと思えば勝手に開かれた。
リヴァイは俯いた姿勢のまま黒目だけをゆっくり動かし、それを見た。
ナナバがゆっくりと近づいてきて、向かいのソファーに腰を下ろした。
時計の秒針だけがやけに大きく聞こえる。
2人の息遣いすら聞こえない静寂の中、ナナバが沈黙を破るように言った。
「おい、いつまでもそうしてないで、早く仲直りしてこい。何があったかは知らないけど、私もできることあれば協力するから」
「・・・」
リヴァイは微動だにせず、膝に肘をついて俯いたままだ。
いつまでたっても口を開こうとしない。
「なぁ?ずっとそんな調子でいるつもりなら、私がルーナをもらうぞ?いいんだな?」
「・・・あぁ」
「!?」
ナナバは目を見開いてリヴァイを凝視した。
「な、なぁ...冗談だろ?...いつもみたいに私を殴り飛ばせよ」
「その必要は...ない。好きにしろ」
消えそうなくらい小さな掠れた声でリヴァイは言った。
ナナバは、そんな簡単に切り捨てるくらいの覚悟でルーナと一緒にいたのかと、目の前の男を罵りそうになったが、事情も何もわからないのでひとまず口を噤んだ。
「な、なぁ?!一体どうしたってんだよ?!らしくないぜ?!」
「...俺はもうあいつのそばにはいられねぇ。いちゃいけねぇんだ。死んだ方がマシなくらい、最低最悪のクソ野郎なんだ...俺は。」
ナナバは、参ったな...と頭をかいた。
先程のルーナも、今のリヴァイと全く同じことを言っていたからだ。
双方とも事情を決して喋らないので何があったのかはわからない。
ただ、こんな2人の様子は初めてだったのでナナバはもうどうしていいか分からなくなっていた。
私だけの手では負えない。
ハンジたちにも相談しようと決心した。
「・・・わかったよリヴァイ。じゃあ好きにさせてもらう」
ナナバはわざと挑発するように言ったが、それでも尚、ピクリとも動かないリヴァイを、眉をひそめて見つめ、踵を返した。