Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第15章 無の世界■
ペンを止めて顔を上げたリヴァイは、今まで以上に凶悪な人相になっていた。
大きなクマに、ゲッソリとした輪郭に、今にも白目になりそうな三白眼。
しかし、そんなことを指摘する余裕が今のルーナにもない。
ルーナも似たような表情で、ドンッと書類の束を机に置いた。
「俺を...殺す気か...」
「私も...手伝うから...がんばろ。」
2人してハァとため息をつき、とにかく手を動かした。
ここ一週間は全く触れ合えていない。
キスやハグ、一緒に湯船につかる余裕すらない2人はお互い疲れと共に空虚感が増してきているのを実感していた。
会話もほぼ仕事の会話しかしていないし、それも二言三言。
拷問に近いそんな現状に、さすがの2人も苛立ちすら募ってきていた。
「紅茶入れるよ」
そう言ってルーナは部屋に備え付けの給湯器で湯を沸かし、ズラっと棚に並べられている茶葉の中から、疲労回復に効果がありそうなものを選んだ。
おそろいの2つの美しいティーカップに注いだ紅茶に映る自分の顔を見て、一瞬別の誰かが映っているような気さえして目を擦った。
2人は紅茶を啜りながら、どこを見ているのか分からないような目でボーッと黙りこくった。
何かを話し出す気力すらない現状に、ただ紅茶を啜る音だけが聞こえた。