Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第12章 104期訓練兵
「リヴァイ兵長、エルヴィン団長がお呼びです」
ペトラに言われ、リヴァイは忙しそうに動かしていたペンを止め、チッと舌打ちをして「ご苦労」とだけ言い不機嫌な顔を貼り付けたまま部屋を出た。
ガチャ
ノックもなしに突然入ってきたリヴァイに、エルヴィンはもう慣れすぎたのか何事もないような顔をして作業を止め、ソファーへ促した。
「なんだ俺は忙しい」
「急ぎの仕事がある。頼まれてくれるかリヴァイ」
「急ぎ...だと?そりゃ俺じゃなきゃダメな仕事なのか?」
「・・・いや正直お前でなくても良いのだが。」
「あぁ?てめぇふざけてんのか?俺が今クソ忙しいことは知ってるよな?俺じゃなくてもいいってんなら最初から他の奴に頼め」
心底迷惑そうな顔で言い捨て、出ていこうとするリヴァイにエルヴィンはあえてニコニコしながら言った。
「では...仕方ない。ナナバに行ってもらうとするか」
ピクンとリヴァイが立ち止まる。
「行く?どこへ」
「お前がきっと今一番行きたいところさ」
「あ?」
「これだ。これを急ぎキース教官の元へ届けてほしくてな。」
そう言ってエルヴィンは1枚の封筒を渡した。
リヴァイは目を見開いたままそれを受け取る。
「お前の馬ならすぐ着くだろう。ルーナによろしくな」
「エルヴィン...俺は今、初めてお前に感謝したぞ...」
驚きを隠せないような表情で呟くリヴァイに、エルヴィンは苦笑いした。
「はは...礼にはおよばんさ。こちらもお前の今にも暴れだしそうな表情を毎日見るのは少々こたえるのでな...
あぁ、それからできれば調査兵団への勧誘もしてきてくれよ」
「・・・恩に着る」
そう言い残すと凄い勢いで出ていってしまった。
エルヴィンはフゥとため息をつくと、コーヒーに口をつけた。
ルーナがいなくなってからというもの、リヴァイは元々悪かった目付きを更に鋭くしみるみる表情が険悪になっていくものだから、エルヴィンだけでなくほかの兵士たちも困っていたのだ。
リヴァイとすれ違うだけで、ヒェッと声を上げて避ける者までいるくらい、リヴァイは不機嫌そのもののオーラを全身から醸し出していた。