Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第12章 104期訓練兵
立体機動の訓練中、ルーナは新兵たちからある噂を耳にした。
エレンは初め立体機動装置で宙に浮かぶ事さえできなかったのだと。
それはベルトの破損のせいだったらしい。
そんなところが破損するなど聞いたことはない。ましてや新兵の使っている道具たちだ。
ルーナは巨人模型のうなじを追いかけていくエレンやほかの新兵たちを見ながら大声で指導を始めた。
立体機動装置の訓練は、人間という二次元的な動きをする生物を三次元に適応させるための過酷なものである。
脚力だけでなく耐G能力と空間把握能力も欠かせない。
特に空中において自分の状況を素早く認識し、パニックにならない為には並大抵でない精神力が必要となる。
このため、バンジージャンプや器械体操、果ては命綱を教官が故意に切ってその対応を見る訓練(俗に闇討ちと呼ばれる)などが行われる。
ルーナは容赦なく闇討ちを行っていった。
確かに安全な訓練ではない。
負傷する新兵や、もう無理だと退団していく者さえいる。
「あなたたち!!そんなんじゃ真っ先に巨人の口の中だよ!!」
「うっ!ルーナ教官いつも容赦ないな...」
「あぁ、本当だ...しかしここで太刀打ちできなければ元も子もない」
口々に声を漏らす新兵たち。
ルーナは自分が行った闇討ちで負傷した新兵たちを素早く手当しながら思った。
確かにこの訓練は安全ではない。
でも...こんなことで怪我したり死んだりしてしまうような者が巨人と闘うことは不可能だ。
優秀な兵士を育て、少しでも多く調査兵団に入れたい。
ルーナは徐々に、キース教官よりも鬼だと言われはじめていた。