Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第10章 勝負■
廊下をテクテクと歩きながら、ルーナはこの時を待ってましたと言わんばかりに笑みを浮かべた。
「リヴァイにも紅茶差し入れてこよーっと」
そう言いながら急いで自室に行き、新しい茶葉を持って給湯室へ行こうと再度廊下へ出た。
リヴァイも疲れているに違いない。
この数年間、本当によくやってきてくれたと思う。
いろいろあったし、いろんな人がどんどん自分たちの前から居なくなっていくけど…それでもリヴァイはいつも傍にいてくれる。
生きていてくれる。
こんなに心強い存在は未だかつて無かった。
私たちにほとんど無理矢理この兵団に残され、尽力を強いられてきた立場に違いないのに…。
今までしたこと無かったであろう執務系の仕事も、手早くこなせていて凄いと思う。
しかもリヴァイはとても字が綺麗なのだ。
新聞の字と変わらないくらい美しい。
リヴァイの字を見て驚いてそれを言った時、
「俺は文字の勉強を、ただそういったもんをなぞって真似てきただけだからな」
と言っていた。
きっと身体的な部分だけでなく、
人より地頭も良いんだろうな…と確信している。
だから常人にはない行動力があるんだろう。
そんな人なのに…
私の前では少し甘えてくれる態度のような時がある。
そんな顔を見せてくれる時も…
そんなことを考えていると、気付かぬうちに
顔が緩んでいた。
同時にふわふわと体の感覚まで抜けた気がした。
その瞬間、くらくらと頭が揺れ、目の前に光がほとばしり視界が遮られた。
「…へ…」
あれ...?
そのままゆっくりと崩れ落ち床が目の前に見えたかと思うと視界は真っ暗な闇に包まれた。
「おい!ルーナ?!」
その瞬間がたまたま目に入り駆けつけたのはナナバだった。
ルーナの右手には茶葉が入った缶が握られていた。
ナナバは急いでルーナを抱きかかえた。