Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第63章 Moon【番外編】
エルヴィンパワーによって、とある音楽番組にルーナを呼ぶことが叶った…わけだが、
まさか突然楽屋に押しかけてくるとは思わなかったので唖然とする。
俺らは収録もろもろ全てが終わってから少々驚かせてやろうかなんて考えていたからだ。
しかも、その背後に突っ立っている人物を見て腰を抜かしそうになった。
どう見てもナナバとアリーではないか。
あの頃よりも少し年齢は上に見える。
ということは、俺たちは割とガキっぽく見られているかもしれない。
そして驚愕した理由はもう1つある。
ルーナの髪が、顎のラインで切りそろえられている…
俺が昔に言ったことを…
実行してくれていた。
顎のラインまでのショートが見たいと
あの頃確かに言った。
"私のショートヘアーは、この島が平和になってからあなたに見せたい。"
"なら俺はお前の短髪を見るためだけに戦う。それを見るまでなにがなんでも生き残るからな。"
はじめましてから始まる自己紹介的なセリフが全く耳に入ってこない。
包帯をしといてよかったのか、よくなかったのか…
結局こちらには全く気がついていないようだ。
呆然としていると、ひとまずハンジがあえて声色を変えて答えてくれた。
「あ〜よろしくよろしく!是非とも仲良くしてくれっ!」
「はいっ。で…えっと…」
ルーナが少し不安そうな面持ちで口を開いた。
「これなんですけど…紅茶が好きだと伺いましたのでよかったら…本当は祖国のものを持ってこられれば良かったんですけど…なにしろ知ったのが昨日でしたので…」
そう言って紙袋を渡してきた。
俺はソファーから立ち上がらずに包帯の隙間からルーナを凝視することしかできない。
すでに目頭が熱くなっている。
今すぐに飛び付きたい気分でいっぱいだ。
こらえるのがこんなに苦労するとは。
俺はついに目を背けてしまった。
ハンジのみがなんとか会話を成立させているが、それすらも全く耳に入らなかった。