Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第63章 Moon【番外編】
翌日の撮影現場、
衣装とメイクを施されながら、ルーナは尋ねてみる。
「ねぇ、アリーさん、NoNameって知ってる?」
アリーはルーナの瞼に丁寧にシャドウを入れながら、んー?と短く声を漏らした。
「…あー、なんか聞いたことあると思ったら、思い出したわ。うちの子たちも最近注目してるって言ってたわね…」
「えっ、そうなの!?」
「うん、でもおかしな歌ばかり歌っているのよ。
確か……豚共がどうとか…」
「ぶふっ!!!」
「こらこらメイクがズレるっ!」
ルーナは盛大に吹き出してしまった。
え、なにそれ?
「夫のディーターもね、教育に悪いとか言って、
ルーナさんの歌ばかりゴリ押ししてるんだけど…ほら最近の若い子って海外の音楽にも興味を示すから、」
笑ってうんうんと話を聞きながら、
「でも昨夜ホテルの海外チャンネルで見た彼らはね、すごーく悲しげで残酷な感じの歌を歌ってたの!バラードだったんだよ?」
「えぇ?あの人たちがバラードを?
…でも歌詞がそんな感じならまぁ頷けないこともないわね」
アリーはあまり興味がなさそうだ。
彼女は今ではプロのメイクさんで、そして自分の衣装ブランドも持っている。
彼女を見つけるのには、そう時間はかからなかった。
「ん〜やっぱこのメイクにそのドレスは最高ね!
はいっ!終わったわ!行ってらっしゃい」
「ありがとう」
ルーナは立ち上がって、目の前の鏡の中の自分を凝視する。
なんだか昔の、あの日を思い出しちゃうな…
そんなふうに思いながら…
あの人は元気かな。
今どこで何をしているんだろうか…
この時代では、皆、年齢はあの頃とは違くて疎らだ。
だから見つけづらいのかもしれない…