Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第61章 心臓を捧げよ
アルミンは、エレンとミカサとの幼き日を思い出していた。
「あれは夕暮れの時…
丘にある木に向かって、3人でかけっこをした…
言い出しっぺのエレンが先にかけだして…ミカサはあえてエレンの後ろを走った…
やっぱり僕はドベで……
でも、その日は風が温くて…
ただ走ってるだけで気持ち良かった…
枯葉がたくさん舞った…
その時、僕はなぜか思った。
僕はここで、3人でかけっこするために…
生まれてきたんじゃないかって……
雨の日に、家の中で本を読んでいる時も…
リスが僕のあげた木の実を食べた時も…
皆で市場を歩いた時も…そう思った…
このなんでもない一瞬が、すごく大切な気がして…」
ジークはルーナが言っていたことを思い出した。
"ねぇ、ジークさん…一つだけでも、生まれてよかったって想える思い出ってないの?
私はあるよ。これを経験するだけのために生きてたんだなぁって、思えるようなことが…
なんでもない日常。もしかしたら本当に無価値とも言えるような瞬間。一緒に眠ったり、喧嘩したり、笑いあったり…私は…なんでもないそんな一瞬一瞬で…それだけのために生きてるんだって、思う時が…"
「僕にとってこれは…
増えるために必要でもなんでもないけど…
すごく大切なものなんですよ…」
アルミンはそう続けた。
ジークは目を見開き、
またクサヴァーとの日々を回想した。
「……あぁ、そうだ…
ただ投げて、取って…また投げる…
ただそれを繰り返す…
なんの意味もない…でも…確かに…
俺は…
ずっとキャッチボールしてるだけでよかったよ…」
"増えるために必要ではないことだけど…そういう一瞬だけがとても大切で、生きている意味のある、価値のある、ものなんじゃないかって…"
ルーナの言葉が、また頭の中で反芻された。