• テキストサイズ

Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛

第61章 心臓を捧げよ


「…というわけだ!じゃあねみんな!」

「ま、待ってよハンジ…!」

ハンジは振り返ると、興奮気味に言った。

「あんなに間近でいっぱい巨人が見られるんだ!この期を逃すことはできないよっ!」

ハンジの腕を掴み、眉間に皺を寄せ口をへの字にしているルーナのその手に自らの手を重ねる。

「ルーナ。今までこんなダメな団長についてきてくれてありがとう。けれど、まだ後を頼まなくちゃならなくなった。ずっと戦わせ続けてしまってごめん。」

ルーナは奥歯を噛み締めて俯いた。

言いたいことがたくさんありすぎて、何も出てこない。

今までずっと、親友みたいに一緒にいたハンジ・ゾエという一人の人間が今、心臓を捧げ終わってしまう。

ずっと自分を助けてきてくれた。
心の支えになってきてくれた。

まだリヴァイと恋仲ですらない頃からずっと、いつも私たちの味方でいてくれた。



「おい、クソメガネ」

突然のリヴァイの声。
それでもルーナは顔を上げられなかった。

「わかるだろ、リヴァイ。
ようやく来たって感じだ、私の番が。」


ルーナは気がついていた。
ハンジが団長になってから、リヴァイは1度もクソメガネと呼んだことはなかった。
しかし今日は…


「今、さいっこうにカッコつけたい気分なんだよ。
このまま行かせてくれ。」


少し怯えたような表情のハンジは、口角を上げた。


「じゃあね、アッカーマン夫妻。
またいつか、会おう。」

ルーナは何も言わずに抱きしめた。
体は震えていて、ルーナは溢れだしたら止まらなそうな涙と感情を、必死にこらえていた。


「…心臓を…捧げよ…」

リヴァイがその言葉と共に、ハンジの心臓に拳を置いた。
ハンジは一瞬目を見開いたかと思えば、すぐに笑みに変える。

見たことがないくらいに寂しげで、優しい笑みだ。

「ハハッ!君が言ってんの初めて聞いたよ!」

勢いよく去っていったハンジはたちまち見えなくなってしまった。
/ 1213ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp