Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第60章 大切なもの
しばしの沈黙の後、マガトが口を開いた。
「…言いたいことは分かった。…で?それならばなぜあんたはここに居るんだ?」
「1番大切な人がここにいるからに決まってるでしょ」
ルーナは即答し、そして皆は眠っているリヴァイの方に視線を流した。
リヴァイの傍には、レオンたち3人が寄り添い、ルーナと同じ鋭い眼光をこちらに向けている。
「私は1番大切な人のために戦っているだけ。そしてその人は、自分を信じろって言った。世界も救うし、獣も仕留めるって。…だから私はそれに従っているだけ。別に私自身が世界を救いたいと思っている訳では無い。」
キッパリと言い放つルーナに皆は押し黙る。
次に言葉を発したのはアニだった。
「…わかる。私も同じだから。私も…たった1人の父親のために戦ってきただけ。ご立派な大義も何も無い。父親と無事に会うためだけに、今ここにいる。」
「私も…家族に生きて会いたいから…ってだけ。」
そう小さく洩らしたのはガビだった。
先程から黙っていたイェレナが突然フッと笑った。
「結局…考えていることは皆同じで、そしてそれを叶えるためには"世界を救う"という共通の目的が出来上がったわけですね。」
ルーナさん…と、彼女は呟くように呼び、そして続けた。
「私があなたに出会った時、シンパシーを感じていた理由が今、分かりました。ジークの計画に賛同したフリをされていたことに、私はまんまと気付けなかったわけですが…そこまで騙し通せてまであなたもやはり、何があっても自分の信じているものだけは曲げないというわけです。」
それが私と同じですね。
私もなにがあろうと、今だって、最期までジークという神を信じている。
そう彼女は言った。