Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
「ルーナよ…お前は…エルヴィンやあいつらの夢見てきた未来を…あいつらの命を…踏みにじることになっても平気だってのか…?」
言葉とは裏腹に、優しい声色。
ルーナはギュッと目を瞑る。
「あいつらが心臓を捧げて、命を賭して、信じて目指してきた世界は、こんなものだったのか?…違うだろ…」
「…でも…」
「あいつらが捧げた心臓は、ほかの命を踏み潰すためにあったのか?」
「違う…」
ルーナは涙声で掠れた声を洩らした。
握っている手が震えているのが分かり、リヴァイは訴えかけるように強く握り返した。
「あぁ、違うはずだ。蹂躙され、ただの血塗れの平地となった世界…それは…あいつらの命と見合わない…」
俺たちが夢見てきた巨人のいない世界は、呆れるほどおめでたい理想の世界だったはずだ。
ルーナは次第に涙を抑えきれなくなっていた。
葛藤しすぎて頭が爆発しそうだ。
わかっている。
死んで行った仲間たちの命に意味を持たせるのは、生者である自分たちだ。
その価値が、今この瞬間にも踏みにじられようとしている。
でも…
「私はそれでも…あなたが1番大切なの…誰だってそうでしょ。誰だって1番大切な人のために生きてる。それはリヴァイが1番よくわかってるはずでしょ…」
「あぁその通りだ。俺はお前だけのために戦い、生き抜いてる」
「じゃあなんでっ…」
「それとこれとは話は別だ。…いいか?俺はお前との夢も叶えるし、死んでいったあいつらの夢も叶える。俺はどちらもやり遂げる!」
強く言い放ったリヴァイの片目は真っ直ぐとルーナを見つめ、弱々しくも真剣な炎を宿していた。
その瞬間、ルーナの涙が止まった。
「…リヴァイ、私は…私はあなたを…死なせたくない。だから…私も連れて行って…」
リヴァイはその言葉に、フッと笑った。
「俺はお前を離すつもりはねぇ。この手をずっと掴んでいると約束したろ」
お前がお前でいられるように…
そう言ってギュッと握られる手…
ルーナは真剣な表情を返しながらこくりと頷いた。