Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
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「…そうか、やっぱり…。無念で堪らないだろう。でも今は…」
「このまま逃げ隠れて何が残る。俺は…獣のクソ野郎を殺るまで追いかける。お前だって、蚊帳の外で大人しくしているつもりはねぇだろ…」
「あぁ。そうなんだよ。ただね…ルーナが…」
そう言ってハンジは下唇を噛んでルーナを見つめた。
大人しく眠っていると言うよりは、全ての労力を使い果たして気を失っているといったほうが近いように見える。
「…君を…発見した時の……あんなルーナは今まで1度も見たことがなかった。我を失って狂ったように泣き叫んで…発狂して…君に近づく者たちに…本気で刃を抜いて、交戦しようとしてた…」
あのままだったらきっと、殺していただろう。
「リヴァイ…ルーナが向こう側にいた理由はさっき話した通りだけど、1番の理由は…君だよ。…いや…むしろ初めから…そもそも君だけが理由だ。」
リヴァイは、その意味を充分理解しているようで、目を細めてルーナの髪を撫でている。
ルーナの頬には沢山の涙の跡があり、リヴァイは胸が締め付けられる思いがした。
「すまないな…ルーナ…ずっとお前を危険に晒してたんだな…この俺が…」
「いや、違うよ。危険に晒してたのは私だ。ルーナだけじゃない。全ての人を危険に晒していた。私が…。」
ハンジの掠れた微かな声。
リヴァイはルーナの髪から指を抜き取り、短くため息を吐いて空を見上げた。
木々の隙間から見える空は、地ならしのせいか蒸気が立ち込めているように曇っている。
「お前…そりゃあ弱音ってやつか?…だとしたらクソつまらねぇな。…こいつの責任はいつどんな時も俺にある。そして獣の髭面野郎のこともだ。」
…俺は…諦めねぇ。
そう強く放たれたその言葉に、ハンジはハッと顔を上げる。
目頭が熱くなり、慌てて頭を振って薄ら笑みを作った。
「ルーナ…?」
微かに動いたような気がしてリヴァイが呟いた。
驚いたように目を見開いてガバッと上半身を起こしたルーナは、しばらくボーッと隣にいるリヴァイを見つめていた。
長い長い夢を見ていた気がして現実がなかなか理解ができない。