Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
「ハンジは…なんにも分かってない…結局今までだって、なんにもできてこなかったじゃない…っ」
ハンジが目を見開いてヒュッと息を飲んだのがわかり、ルーナは眉をひそめて俯いた。
「…ごめん……」
「いや…君の言う通りだ。私は…何もかも君やエルヴィンに押し付けてばかりで…君にいつも何かを背負わせて、私はそれにすら気づけず…なんにもできなかった。君の言いたいことも…わかる…」
ルーナが中絶を決断させてしまった時だって間に合わなかった。
1人で抱え込ませていた今回のことだって。
兵団分裂も止められず、地ならしも止められず…
私はやっぱり、
エルヴィンの後釜にはなれなかった。
結局こうして調査兵団を壊滅させた。
それどころか、ほかの兵団まで、いや、人類全てを危険に晒した。
これは私の責任だ。
「ハンジ…」
「…私はずっと…逃げたいと思ってきた。もうなにもかも終わりにしたいって…。…いっそ全て投げ出して逃げてやろうとしたことだって…死んだ方がマシだと思ったことだって…数しれないよ…」
団長という重責にも耐えきれなくて…
何もかもに耐えきれなくて…
辛くて、悲しくて、やるせなくて…
痛くて…苦しくて…
それでも…
「私はまだ…調査兵団の14代団長だ。人類の自由のために、心臓を捧げた…」
拳を握ってそう呟くように言い、目を瞑った。
「仲間が見ている気がする…大半は、壁の外に人類がいるなんて知らずに死んでいった。だけど…」
ハンジは真剣な目でルーナを真っ直ぐ見つめた。
「この島だけに自由をもたらせばそれでいい。そんなケチなことを言う仲間はいないだろう!」
虐殺を止めることができるのは今しかない。
ルーナは眉を下げてリヴァイに視線を落とした。
直視できないほどの痛々しさだ。
自分の半身が抉られたかのように目眩を起こす。
「…私は…リヴァイとの未来がある方を選ぶ。リヴァイと決める。2人だけの未来だから…2人で決める…」
「…あぁ。わかったよ。」
もう彼女と話ができるのはリヴァイしかいない。
ハンジが脱力したように2人の行く末に思いを馳せた時、ルーナは目眩が酷くなりくらくらと頭が揺れ動くのがわかった。
「っ!ルーナ!?」