Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
「それより、ルーナ…君はなにかまた、抱え込んでいるんじゃないのかい?向こう側にいた理由も何か…あるんじゃないの?」
ハンジの言葉で、リヴァイとした会話は脳裏で掻き消え、現実に引き戻された。
ルーナが俯き意を決して目を開けた時だった。
突然、異空間に飛ばされる。
見たことの無い砂漠のような景色。
目と口を開けたまま動きを止めていると、脳裏にエレンの声が響いてきた。
『 全てのユミルの民に告ぐ。
オレの名はエレン・イェーガー。始祖の巨人の力を介し、全てのユミルの民に話しかけている。
パラディ島にある全ての壁の硬質化が解かれ、その中に埋められていた全ての巨人は歩み始めた。
オレの目的は、オレが生まれ育ったパラディ島の人々を守ることにある。
しかし世界はパラディ島の人が死滅することを望み、永い時間をかけ膨れ上がった憎悪はこの島のみならず全てのユミルの民が殺され尽くすまで止まらないだろう。
オレはその望みを拒む。
壁の巨人はこの島の外にある全ての地表を踏み鳴らす。
そこにある命を、この世から駆逐するまで。』
一瞬でまた現実に引き戻される。
ハンジは冷や汗を滲ませながら呟いた。
「…な…なぁに今のっ……っ?!ルー…」
ふと見ると、ルーナは不気味に笑っている。
涙を頬に流しながらも茫然とした表情のまま口角を上げ、身を震わせていた。
「ちょっとルーナ…?どうしたの…?」
「ようやく…始まった…」
「…え?」
「これで私たちは救われる。」
目を輝かせて呟くように声を洩らすルーナを訝しげに見つめる。
「は?なにを…エレンは今、世界に向けて地ならしを発動し、島の外の世界は全部滅ぼすって…まさか…全部知っていたの?」
くくく、とルーナは笑った。
そしてリヴァイの頭を撫で始める。
「ふっ…よかった。ちょっと遅かったけど、何とか間に合ったみたい。」
そう呟きながらハンジに笑顔を向けた。
「これで全て終わるよ、ハンジ。よかったね。私たちは苦しみからようやく開放される。死んで行った仲間たちにも報いることができる。ようやく!私たちは……自由だ…!」