Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第59章 完全無欠の一族
そう言ってフロックがルーナに銃を突きつけた時、蹲っていた巨人が蒸気を発し出した。
「巨人の様子がおかしいぞフロック?!」
「なっ!…消えている、のか?」
「いや、普通蒸気が吸い込まれるようにして消えたりはしない」
ハンジの言葉にフロックたちは一斉にその巨人に銃口を向けた。
「え…」
その巨人の中から姿を現したのは、無傷のジーク。
皆は息を飲んで動きを止める。
その瞬間、ハンジは突然、リヴァイを抱えているルーナを川へ押し飛ばした。
「あ?!追え!!逃がすな!!!」
水の中で微かにフロックの声が聞こえる。
一瞬のことすぎてわけも分からず川の奥深くまでリヴァイを抱きしめながら沈むルーナが目を開けると、ハンジが早く!と言うように指をさしながら2人を抱え込むように促した。
銃声が鳴り響き、パシュッパシュッと水の中に撃ち込まれる音が聞こえる。
当たらないように、なるべく奥深くを必死に泳いでいく。
ハンジも支えてくれているが、水の重力もあって、元々重いリヴァイの体がさらに重く感じる。
そしてもちろん自分の体も重いうえに息が苦しくなる。
しかし、今まで死に物狂いで数々の訓練をこなして来ただけのことはあり、何も考えずに必死に泳いだ結果、なんとか岸に辿り着き、森の奥へとリヴァイを引きづりこむことに成功した。
「は…はぁ…は…ぁ…ハン…ジ…」
「ルーナ…はぁ…く…無事か?…」
「リヴァ…イっ…がっ…」
たちまち子供のように理性を失って泣きじゃくるルーナに、さすがにハンジは顔を歪める。
ここまで理性を失っているルーナは初めて見た。
「落ち着くんだ。きっと大丈夫だ。リヴァイならなんとか助かるだろう。ルーナの治療技術があれば…そうだろう?」
愛する人を助けるんだ!
そうハンジは強く真剣にルーナに言った。