Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第58章 赤い鮮血
「うっ…」
痛みで目覚め、ジークの視界にはぼんやりとリヴァイが映り出す。
「目が覚めたか?…おい、待て。動くんじゃねぇ。」
ようやく状況が掴めてきた。
後ろ手にキツく拘束されている自身の腹に雷槍が刺さっていて身動きが取れない。
そしていまは荷馬車に転がされているのだとわかる。
「雷槍の信管を繋ぐワイヤーをお前の首に括ってある。ヘタに動いたらお前は腹から爆発して少なくとも2つになるだろう。」
「…うっごぉ…ゴホッゴホ…ぉ…」
激痛で嘔吐物が噴き出す。
それを冷徹な目で見下ろすリヴァイ。
「こうなると死なねぇってのも難儀だな。同情なんかしねぇが。」
リヴァイは剣を引き抜いた。
シャッという音に、ジークは顔を強ばらせる。
「お前は俺の部下の命を踏みにじった。お前の計画通り。…ゲロクソまみれで泣き喚くのも全て計画通りかぁ?」
あまりにも恐ろしい残酷な光を放つリヴァイの目。
ジークが言葉を発する間もなくリヴァイは何度も剣を振り始めた。
「うわあああああああ!!!!」
「うるせぇよ。こうやって切っておかねぇとてめぇが巨人になっちまうだろうが。」
太腿の方まで足が切り刻まれ、ジークは凄まじい雄叫びを上げる。
死んだ方がマシだ。
でもそんなことは何度も思ってきた。
何度も、どころか、ずっとずっと思ってきたことだ。
多分、生まれた時から…
意識が朦朧とする中、ジークは辛うじて声を洩らす。
「俺…の…眼鏡は…どこ、だ…」
「あ?知るかよ。もうお前には眼鏡なんか必要ねぇよ」
あの眼鏡は…俺の…
覚悟と決意の証なんだ。
生きる意味なんだ。
"告発なさい。もうこれしかない。自らマーレ当局に告発することでマーレに忠誠を示せば君と祖父母は助かるはずだ"
ジークの脳裏には朧気に子供の頃の記憶が蘇っていた。
"そんな…クサヴァーさん…できないよ…"
"ジーク!君の両親は自分たちの向こう見ずな計画のために君を利用した。7歳の君と、おじいちゃんとおばあちゃんを命の危険に晒し、勝手に期待し勝手に見放し、ちっとも君のことを気にかけなかった。
君を…愛さなかった…"