Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第58章 赤い鮮血
シガンシナ区…
キース・シャーディスは、今期の訓練兵たちを集めていた。
「知っての通り、ザックレー総統が殺害された今、兵団内やこの壁内の情勢は不安定な状況にある。だが貴様ら訓練兵には関係の無いことだ。109期訓練兵団は予定通り巨人襲撃時のシガンシナ区防衛訓練を行う!」
その言葉に、訓練兵たちは返事をせずに不安の表情を滲ませている。
こそこそと話をし始める者まで現れた。
「…今更、剣で巨人のうなじを切りつける練習なんてな…もう巨人なんて襲ってこねぇだろ…」
「あぁ。敵は壁外の人間なんだしな」
「それよか、もっと銃火器の訓練とかしてエルディア軍を作らなきゃいけないって親父も言ってた」
「時代はとっくに変わったってのに…古いんだよシャーディス教官は…」
「エルディアに希望があるとしたら、イェーガー派が実権を握ることだ。」
「なっ?!スルマお前…聞こえるぞ…」
「でもみんなそう思ってるだろ?みんなエレン・イェーガーにエルディアを導いてもらいたいはずだ。非情な決断をも下せるような強い指導者に。」
ギギギギギィィー…
突然扉の開く音がして皆が目を見開く。
そこにはフロックたちイェーガー派の兵士たちと、拘束されて連れられているハンジがいる。
「…ハンジ?!」
フロックがカチャカチャと銃を鳴らしながら近づいてくる。
「お久しぶりです教官殿!突然ですが、この兵団支部は我々が占拠しました。イェーガー派?とか言われている我々が。」
「…っ!!」
周りがざわつき始め、フロックたちは全員に銃を向け始めた。
「これより我々の指示に従い動いてもらいます」
キースは落ち着き払っている。
「…身の程をよく弁えているようだなフロック。銃口でも向けない限り貴様らのような小便小僧など誰も相手にしないと考えているのならそれは確かだ」
ドォン!!!!
「っな?!」
「外したか…とりあえず足でも撃って話を早くしようと思ったんですが…」
「キース教官…」
その声に、キースは目を見張った。
「スカンロン?…お前まで…何をしている?」
ルーナはハンジのように拘束されていない。
それどころか、皆に守られるように中心に立っている。