Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第58章 赤い鮮血
「それは…なんでかな?」
「エレンの判断です。ピクシス司令は島の命運を我々に委ねるような賭けはしない。我々を道案内する道中でエレンから始祖を奪う算段を立てるのに今頃大忙しでしょう」
そういうことだったのか?
いや、でも、確証はない。
ハンジは鋭く視線を走らせた。
よく見ると、ヴィム、ルイーゼ、ホルガーたちがいるが、ルーナやあの3人がいない。
「…妄想がすぎるよ、フロック。それとも駐屯兵団内にいるお仲間がそう告げ口してきたのかな?」
「聞けばなんでも答えてくれるほど親切な部下に見えますか?あなたの部下ではないと示すべきでしょうか?」
銃をカチャカチャと鳴らすフロックに、ハンジは慌てる。
「聞くんだフロック!私たちは仲間同士で争いあっている場合じゃない!ジークの脊髄液が混入したワインが兵団内で振る舞われた!我々はジークの計画に踊らされているんだよ!」
「はぁ…もういいですか?後ろ手に縛りますが、1発撃たないと従う気になりませんかね?」
フロックは顔色ひとつ変えずに銃を突きつけ片目を瞑った。
本気だ…そう誰もが顔面蒼白にしたそのとき…
「やめてフロック」
突然のその声に誰もが目を見開く。
「ルーナ……」
「ハンジ…」
ルーナは扉の外にいたようだった。
眉をひそめて真っ直ぐ見つめている。
フロックは大人しく銃を下ろしてハンジたちを拘束し始めた。
「るっルーナ!今の話聞いてただろ?!ワインがっ!」
その声に、フロックが呆れたように声を洩らした。
「だとしても、バカな憲兵共が大きいバカになるだけだろ?」
ハンジは目を見開いて息を飲む。
「なっ?!憲兵が飲まされたとは言ってないぞ!まさかあなたたち…ワインのこと…知ってたの?!」
ルーナは奥歯を噛み締めながら静かに答えた。
「私は…さっき知ったの。でももう…手遅れ。」
確かにその通りだ。
でもっ…
「ルーナ!そのワインはリヴァイたちも持っていっただろ?!」
「だからルーナさんには教えなかったんですよ」
フロックの言葉にルーナは俯いた。