Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第57章 カード
「ピクシス司令、何か今後の展望はございますか?」
「…これはもうワシらの負けじゃ。エレンに降参しよう。」
その言葉に皆が息を飲む。
「兵団内部に敵を抱えていてはどうにもならぬ。仮に徹底して敵を炙り出すにしても、どれだけの血が流れることか…そんな愚行に費やす時間はどこにも無い。多くの兵に兵団を見限る決断をさせた。我々の敗因はこれに尽きる…」
「それではイェーガー兄弟に服従するおつもりですか?!」
「服従ではない。イェーガー派にジークの居場所を教えることを条件に交渉を図る。我々は従来通り、地ならしの実験を見守り、これにエルディアの存続を委ねる。」
ピクシスは力強く言い放った。
ハンジはルーナがいつも取り持っていたマーレ人捕虜の労働環境が怪しいとみていた。
ルーナが推していたニコロのあのレストラン…
まずはあそこへ行ってみよう。
そう思い立ち、アルミンたちと馬を走らせた。
「まさかルーナさんが…でも彼女ならありえなくもない気が…」
「えっ、何か知っているのコニー」
ハンジの焦りの表情に、コニーやジャンは眉を顰める。
「いや…なんていうかあの人っていつも、俺らとは違うものを見ているような目をしていたので…。
サシャ殺したガキのことも躊躇わず殺そうとしてたし…」
「昔とは比べ物にならないくらいどんどん変わっていきましたよね。まぁそれに伴って、ルーナさんを崇拝するような兵士たちも多くなっていきましたけど…」
「それは…私も気付いていたが…まだイェーガー派と決まったわけではない。もしかしたらフロックたちに脅されて…」
その可能性は充分にある。
もしくはまた昔のように正気を失っている可能性も…
だからこそ彼女を探さなくてはならない。
「それはないんじゃないでしょうか。だってあのルーナさんですよ!あんなに強い人が…まさかそんな…」
「あぁ。あんな人が向こう側についたんじゃ俺ら…敵わないかも」
誰もが考えていることは同じだった。
しかしだからといって…
ハンジは意を決したように真剣な表情に切りかえた。
「ルーナだけでも何がなんでもこちらへ戻す。そうすれば、ルーナにいつも従っている部下たちも考えを改めるかもしれない。今はこれに賭けるしかない。」
ルーナというカードに賭けるしか…