Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第9章 シガンシナ区墜落■
夢の中でルーナはポーラといた。
両親が死んでから、隣の家にたった1人で住んでいたポーラは、なにも言わずにただ優しい笑みだけ浮かべ快くルーナを引き取ってくれた。
ポーラの夫は調査兵だったが、巨人に食われて死んだのだと語っていた。
戻ってきた夫は腕1本だけだったとも。
ルーナは、血の繋がっていない自分を本当の子供のように可愛がってくれるポーラが大好きだった。
好奇心旺盛なルーナをいつもとても自由に育ててくれた。
ルーナは今までポーラに「ダメ」と言われたことがなかった。
しかしルーナが調査兵団に入ると言った時、たった一度だけ「ダメだ」とハッキリ口に出した。
しかしそれも本当に1度きりで、もう一度ルーナを見たあと、いつもの笑顔に戻り、「いってらっしゃい」と優しく言ってくれたのだ。
「人生を切り開くのは好奇心しかないわ。
好奇心は、誰にも抑えられるものではない。」
そのとき、ポーラはそう言い、
深くは何も聞いてこなかった。
人類のために頑張れとも心臓を捧げろとも、立派だと褒めたりも、今まで何もなかった。
ただ、無事な姿を年に1度や2度見られればそれだけでじゅうぶんだとばかりに。本当に、それ以外は願っていない人だった。
だからルーナから夢の話をしたときも、
ポーラは止めも咎めもせず、ただこう言った。
「人生に夢があるのではなく、夢が人生をつくる」
と。
今までも、しょっちゅう手紙のやり取りをしていて、次の非番の日には会いに行く約束をしていた。
それをルーナは本当に楽しみにしていた。
それがまさか……
こんなことを想像できるはずがない。
いや……
心のどこかで誰もが実は想像し、目を背けてきたそれが今、現実になっただけだった。
ぼんやり目を開けるとルーナはそこが兵舎内の医務室だということに気がついた。
「起きたか」
ルーナが寝ているベットに腰かけこちらを見つめるリヴァイの横顔を見て一気に現実に引き戻された。