Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第57章 カード
しかし、悪夢の始まりは突然訪れた。
ザックレー総統が殺され、爆弾が仕掛けられていた椅子を運んだのは、どうやら調査兵団新兵の3名だということ。
「エルディアを救えるのはエレンだけだー!」
「食い殺された国民の無念を晴らせるのはイェーガーだけだ!!」
「新生エルディア帝国はエレン・イェーガーあってのものだ!!」
兵団本部全域を民衆が取り囲み、一種のデモが起こるようになっていた。
本部には、ナイルたち憲兵や駐屯兵上層部、ハンジたちが集まり、そのことについて話し込んでいた。
「緊急事態です!!!!」
突然扉を乱暴に開け、声を張り上げながら入ってきた兵士に皆が一斉に振り向く。
「エレン・イェーガーが!!地下牢から脱獄しました!!!」
皆の顔が一気に強ばる。
「兵を総動員して捜索するんだ!!急げ!」
「「了解!!!」」
「なんってことだ…」
ハンジの額に汗が流れ、アルミンたちは目を見開いて押し黙った。
そして驚愕の事実はまた訪れた。
「フロック・フォルスター含め、100名余りの兵士が檻の中から看守ごと姿を消した。その全ての兵がエレンの脱獄と同時に離反をしたと見られる。総統の殺害も奴らの仕業とみて間違いない」
「る、ルーナも…消えたってこと…?」
「…あぁ。信じられんことにな。」
ナイルは本気で信じられないと言った顔で俯き気味に言った。
「そんな…ルーナが…どうなってるの…」
「総統の殺害も奴らの仕業とみて間違いないだろう。」
目撃情報では、それはルーナの腹心…魔神の犬とも呼ばれている実力者…レオン、ブルーノ、ロジータなのではないかということだった。
「だとしたら…イェーガー派の中枢を担っているのは、ルーナなんじゃないか。魔神の犬共も、情報漏洩したフロックら4名も、聞くところによるとルーナに忠実な部下たちらしいじゃないか。」
ハンジは拳を握った。
ありえない。
ルーナにそんなそぶりは全く無かった。
はず……
でも気がついた。
最近はなにもかもをルーナに任せっきりだったことに。