Lunatic Fortuna…進撃の巨人リヴァイ溺愛
第56章 炎の中■
こいつのこの感情は使える。
そんな考えまで浮かんできてしまった。
いつもだったら絶対にこんな考えは浮かばないだろうし、まして目の前のこの光景は自分にとっては当然面白くはない。
それでも今こういった気持ちになっているのは、今後離れ離れになり、しかもバリスも自分と行動を共にするとすれば、誰もルーナを守ってやれない。
いくら彼女が強くても、避けられない事態というのは常に付き物だ。
自分だって何度もそれを経験してきた。
しかもこの男は聡く、頭が切れる上に根性がある。
エルヴィンのことをあそこまで運びきり、最後まで生存権を譲らなかった男。
先程の火事の一件でもそうだ。
今ではあのガキ共のようにルーナのことを一番慕っているように見える。
何かにつけ彼女と行動を共にしているし、まるで一番弟子のような、腹心のような…そんな存在に映るのは気のせいではないだろう。
エルヴィンのこともあって、ルーナが贔屓しているのか?
とも思うが、それは別になんでもいい。
こいつは恐らくルーナに気があるだろうが、それはむしろ今は好都合。
とにかくこの男は使える。
「俺がいない間、こいつのことを頼む。」
突然ルーナのことを任せられるようなことを言われ、フロックは目を見開いた。
ルーナはポカンとした表情をする。
「…わかりました」
しばしの沈黙の後、フロックの真剣な瞳がリヴァイのそれと交わっていた。